Isao Endo  遠藤 功

遠藤功が「現場力」を語るコラムをお届けします

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早稲田大学大学院教授、株式会社ローランド・ベルガー会長を務める遠藤功のプロフィールを紹介します

講演活動についての概要を紹介します

『現場力を鍛える』『見える化』など、遠藤功の書籍を紹介します

各種メディア、各種媒体での掲載とその概要を紹介します

一流のビジネスパーソンを目指す人のための総合型ビジネススクール「カラーズ・ビジネス・カレッジ」を紹介します

「現場学」を研究し、強い現場づくりを目指す遠藤研究室を紹介します

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連載コラム「現場通信」

Weekly現場通信 vol.367 独法のカイゼン大会

[2017-11-20]

 住宅金融支援機構(JHF)のカイゼン発表全国大会に参加してきました。JHFは長期固定金利住宅ローン「フラット35」で知られる独立行政法人(独法)です。
 JHFのカイゼン活動の取り組みは『現場論』の中でも紹介しました。民間企業に限らず、独法や行政機関など官の組織でもカイゼン活動を行う事例はよく見られますが、JHFほど本気で愚直に取り組んでいる例は稀だと思います。経営トップが旗を振り、カイゼン活動を経営の柱と位置付け、組織を上げて地道に取り組む姿勢はとても好感が持てます。
 私は官の組織こそカイゼン文化を根付かせ、組織の体質を変えることが不可欠だと思っています。しかし、前例踏襲、現状維持が根強い官の組織でカイゼンを浸透させ、定着させるのは容易なことではありません。その意味でも、JHFの取り組みを他の官の組織はお手本にすべきだと思っています。
 カイゼンの取り組みは今年で6年目ですが、そのレベルも確実に上がってきています。1年間に行われたカイゼン事例は約2400件。その中から職員による投票などにより12件が選ばれ、全国大会で発表する機会を得ました。業務の効率化、ミスの防止、職場環境の改善、CS向上など多彩なカイゼンの取り組みが発表されました。
 審査員の投票により、最終的に団信・火災保険部の取り組みが審査員賞、近畿支店の取り組みが特別審査員賞を受賞しました。どちらも自部門だけでなく、他部門や外部の組織を巻き込んだカイゼンであることが高く評価されました。

 大会の最後に私から少しだけお話をさせていただきました。それは「カイゼンの取り組みを次のステージへとステップアップさせよう」というメッセージです。
 JHFに限らず、カイゼン活動は6年目ともなるとマンネリに陥りがちです。最初の頃は新鮮な気持ちでカイゼンに取り組んでいたのが、徐々にその熱も薄れ、カイゼン機会もみつけにくくなる。そして、やがて誰もカイゼンなど忘れてしまうというパターンはよく見られる事象です。
 カイゼンには「現状改善型」と「目的改善型」の二つのタイプがあります。現状の問題点を探し出し、知恵を出し、創意工夫してカイゼンするのが「現状改善型」です。それに対し、「目的改善型」は「ありたい姿」「あるべき姿」を設定し、そこに近づくためにカイゼンを積み重ねていくというアプローチです。
 現状の問題はなくなったからそれでよしとするのではなく、未来の「ありたい姿」を見据えて、よりダイナミックにカイゼンを積み重ねていく。「目的改善型」の取り組みが定着すれば、それは間違いなく本物の競争力になります。
 これまでの6年間の取り組みは、カイゼン文化の「土壌」をつくる最初のステージだったとも言えます。出来上がった良質な「土壌」を活かし、いよいよ種を蒔き、実をつけ、花を咲かせるのはこれからです。JHFのさらなる進化を期待しています。

[今週の出会い]

 NHKの「クローズアップ現代+」に出演させていただきました。いつもながらの真摯で深い取材力に感服します。表層的で浅い番組だらけの中で、「NHKの良心」とも言える番組です。終了後、武田真一キャスターとツーショットの記念写真。不慣れな私を隣からやさしくサポートしていただきました。

[今週のシナ]

 秋の陽だまりの中のシナです。朝晩は冷え込んできましたが、昼間の散歩はとても気持ちのいい最高の時間です。落ち葉を踏みしめながら、散歩を楽しんでいます。